今日は、子宮脱についてまとめました!
患者さんのサマリーを見るとき、
既往歴に「子宮脱」って
書いてるの見たことありませんか?
意識して見てみると
案外多いのです。
でも知らないと
「そっか」くらいで流しちゃいがち。
わたしは、新卒で就職した総合病院で
お手洗いの介助中に骨盤臓器脱を見かけることが
何度かありました。
初めて見たときは
「よく分からんけど、
大変なことになってる!!!!」
と驚き、看護師さんを
慌てて呼びに行ったことも……。
ウィメンズヘルスケアの勉強を始めたのも
その出来事がきっかけでした。
そんな視点を持つと、サマリーを見たときに
既往歴や手術歴にある「子宮脱」の
見方も変わります。
ではでは、いきましょうー!!!
子宮脱ってなに?
![画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69268489/picture_pc_78aac71e868aed7b1eddc2c1a334c700.png?width=800)
子宮脱とは、
骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse / POP)の一つで子宮・膀胱・尿道・小腸・直腸などが、女性器(膣)に下垂し膣外に出てきてしまう病気です。
経膣分娩を経験した女性の約50%が
POPの症状を呈しており、
経膣分娩やそれに付随する処置
(会陰切開、吸引分娩、鉗子分娩など)は
重要な関連因子と考えられています。
また、50歳代の女性の約55%、
出産経験者の約44%になんらかのPOP症状が
認められるとの報告もなされています。
これらのデータから、
出産経験のある高齢女性は
よりリスクが高いと考えられますね。
子宮脱ってどういう状況?
![画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69268533/picture_pc_be450fd0b19b58e3a5e0b41d79cec6a8.png?width=800)
子宮脱は、腹圧上昇に伴い子宮が膣から突出してきた状態のことです。
本来であれば、こうならないように
骨盤底筋群や靭帯、筋膜がいろんな方向に
子宮を引っ張って支えているのですが、
これらのどこかが問題で支えきれなく
なってしまい子宮脱となってしまうのです。
これをインテグラル理論といいます。
これをより詳しくお話ししていきます。
子宮を支える3つの要素
![画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69268606/picture_pc_d36620836fdd7ea668ac23ea4732dd99.png?width=800)
子宮脱を理解する上で欠かせないのが
「インテグラル理論」です。
ざっくりと簡単に説明すると
子宮の底の部分を「骨盤底筋群」が
子宮頸部を「靭帯」が
子宮上部を「筋膜」が
それぞれ付着し、支える構造をしています。
この支えがなくなると、
子宮が腹圧に負けてしまい
膣から突出してしまいます。
これが子宮脱です。
リハビリでアプローチできるのは?
子宮脱に関する要素として
「骨盤底筋群・靭帯・筋膜」の3つが
あることをご説明しました。
この中で、
私たちセラピストがアプローチできるのは
「骨盤底筋群」のみです。
といっても既往歴に子宮脱のある方に、
骨盤底筋エクササイズを行えばOK
というわけではありません。
子宮脱の原因が何であるのか?
今の子宮脱の状態は?
(手術の有無、婦人科にかかっているか)
を理解した上で
アプローチを行っていかなければいけません。
骨盤底筋エクササイズ以外にも私たちにできる
とっても大切なことがあるのでご紹介します✦ฺ
それは、骨盤底へ負担のかかる要素を
少しでも取り除くこと。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69243587/picture_pc_59d109aa3d5dbf077c4500b8b58270c0.png?width=800)
例えば…
・腹圧のかかりすぎない動作指導を行う
・不良姿勢(骨盤後傾)の修正
・排便姿勢指導
などなど。
骨盤底筋群エクササイズ以外にもできることはあります。そしてどれも子宮脱以外にも生きてくることですよね!
あ、ちなみに
骨盤底筋群の解剖についてはコチラの記事に
詳しくまとめていますのでぜひご参照ください✦ฺ
![](https://www.mamareha.com/wp-content/uploads/2023/04/20-320x180.jpg)
過去の出産が徐々に影響してくる?!
![画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69268688/picture_pc_44acc656f233426297b981006cc4954d.png?width=800)
先ほど、
/
出産経験のある高齢女性はよりリスクが高いと
考えられます。
\
とお話ししました。
経膣分娩は骨盤底へ
2つの大きなダメージを与えます。
1つめが、軟部組織への直接的なダメージ。
2つめが、神経系へのダメージ。
1つめの軟部組織の損傷は、出産時に筋肉が大きく引き伸ばされることで起きます。
およそ分娩後2ヶ月で回復するとされており、これによって子宮脱が起こることはほぼありません。
しかし、2つめの神経系の損傷は分娩回数と共に蓄積されていき、陰部神経の損傷は骨盤底筋群の機能を徐々に障害していきます。
そして徐々に筋膜や靭帯の強度を失っていき、肥満・腹圧上昇・閉経後のエストロゲン欠乏などの要素が加わることで将来の子宮脱につながってしまうとされています。
今は大丈夫でも、将来の身体のことを考えるとやはり産後のケアと生活習慣はとっても大切ですよね。
子宮脱の治療方法
![画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69268735/picture_pc_0252e07e68ca7245bcad3cd2ba049561.png?width=800)
最後に、
子宮脱に行われる治療方法についてお話しします。
保存的治療は
・ペッサリーリング
・フェミクッション
・骨盤底筋エクササイズ
外科的治療は
・TVT / TVM手術
がゴールドスタンダートとされています。
保存療法を行なってもQOL低下や
不快症状が強い方に手術療法が選択されます。
総合病院勤務時代にも
ペッサリーリングを挿入されている方を
お見かけしたことがあります。
こういうことは、口には出しにくいだけに
「実は治療中です」という方も多いです。
それでも案外多いのがこの子宮脱。
少しでも理解が深まって、患者様と接する際の
引き出しの一つになればと思っています。
今日もここまでお読みいただき
本当にありがとうございました!