先日まで、尿失禁のある方へ「骨盤底筋エクササイズ」のご指導でリハビリテーション介入を行なっておりました!
泌尿器科にPTが在籍していれば直接の指導を行なってもらえますが、まだ在籍している医院は少なく、「これ見て頑張ってね」と骨盤底筋エクササイズのパンフレットを渡されて終わりということも多いようです。
外来勤務であればそのような患者様へも
対応をしていく可能性がありますし、
入院患者様のリハビリテーションでは
「トイレ問題」はすべての患者様のADL面で
めちゃくちゃ大切な部分ですよね。
今日は尿失禁についてお話ししていきます。
ぜひ最後までお付き合いくださいね!
尿失禁について知ってますか?
![note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ-4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71287027/picture_pc_f9a60d9e06a0b0da0a6e3db086ab6234.png?width=800)
あなたのもとへ
/
トイレに行こうとしても
間に合わず尿が漏れるんです
\
という相談がきたらあなたはどうしますか?
トイレに着く前に間に合わずに漏れる。
と一口に言っても、
「早く歩くことができなくて間に合わない」
「膀胱に尿が溜められなくて漏れる」
「腹圧が制御できずに漏れる」
など、「間に合わず漏れる」の
原因は様々です。
まずはなんで漏れるのか?
原因を知ることが必要です!
尿失禁の分類
なんで漏れるのか?を知るためには
ここの知識はマストです!
![腹圧性尿失禁](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71286744/picture_pc_4ba62a2666bd8debda53ec1da50beb8f.png?width=800)
一番多いのが、腹圧性尿失禁です。
【腹圧性尿失禁の特徴】
咳やくしゃみなどの腹圧上昇時に、膀胱が収縮していないのに尿が漏れ出てしまう。
原因は大きく2つで、
■分娩や加齢に伴う骨盤底筋群の緩み
■膀胱頸部、 尿道の過可動性
腹圧時に膀胱内圧のみが上昇して
尿が漏れてしまいます。
【切迫性尿失禁の特徴】
強い尿意を感じて制御できずに
尿が漏れ出てしまう。
原因は多岐に渡り、
■膀胱の不随意収縮
■蓄尿期の排尿筋過活動
■排尿期の排尿筋収縮力の減弱
とされています。
この2つの症状が合併したものを
『混合性尿失禁』といい
腹圧性尿失禁の方の29%が混合性です。
では、問題です!
尿失禁のなかで骨盤底筋エクササイズが
有効なのはどれでしょう?
(突然のクイズ形式)
正解は……
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁
混合性尿失禁です。
ちなみに
トイレにスムーズに移動できない為に起こる機能性尿失禁は「移動方法」や「トイレができる方法」などへのアプローチが必要になります。
溢流性尿失禁は、
末梢神経障害による排尿筋の収縮力の低下や
前立腺肥大などの尿道の狭窄が原因のため
導尿などの必要があります。
では次の問題です!
骨盤底筋エクササイズをすれば
腹圧性・切迫性尿失禁は
必ず改善するでしょうか?
正解は……
Noです。
それは腹圧性/切迫性尿失禁が
起こる理由にあります。
腹圧性尿失禁は、
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71287159/picture_pc_64ccc97fcd096065a3a14b6b6aebc379.png?width=800)
このように2つの原因があります。
骨盤底筋群の緩みに関しては、
骨盤底筋群へのアプローチを行なっていく
ことでOKなのですが
骨盤底筋エクササイズの効果が乏しい
尿道や膀胱頸部の過可動性に関しては、
VTV(tension free vaginal tape)手術や
TOT(trans obturator tape)手術
などが適応となります。
切迫性尿失禁は、
骨盤底を収縮させたり尿道を圧迫して
尿意の山を越えさせる膀胱トレーニング時に
骨盤底筋群エクササイズは用いられます。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71287192/picture_pc_f8bff54bd7dc862604e3dc8ce137ff28.png?width=800)
しかし切迫性尿失禁の原因はこの図のように
多岐に渡るため、骨盤底筋群エクササイズのみ
ではなく、排尿日誌や薬物療法なども行われます。
じゃああんまり骨盤底筋エクササイズは
意味がないのか?!
というと、そんなことはありません。
腹圧性尿失禁保有女性は尿禁制女性と比較して、骨盤底筋群の最大筋力が有意に低値である。
(Morkved S, et al Int Urogynecol J Pelvic Floor Sysfunct:2004)
腹圧性尿失禁保有女性は尿禁制女性と比較して、安静時及び収縮時の骨盤底筋群の筋厚が有意に低値である。
(Morkved S, et al Int Urogynecol J Pelvic Floor Sysfunct:2004)
腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋トレーニングは骨盤底筋群の筋力増強を促し、自覚的な尿失禁症状を改善し、女性のQOLを向上させる。
(Hirakawa T , et al . Int Urogynecol J 24:2013)
骨盤底筋トレーニングは腹圧性尿失禁治療の第一選択肢として推奨される
(Dumoulin C , et al . Cochrane Database of Systems Rev,2010)
骨盤底筋訓練はその悲侵襲性から尿失禁治療の第一選択肢と考えられる
【推奨グレード A (行うように強く勧められる)】
(日本排尿機能学会、女性下部尿路診療ガイドライン 2013)
など
骨盤底筋エクササイズの有効性は
多く示されています。
骨盤底筋エクササイズに関して
こちらの記事でご紹介しているので
こちらもぜひお読みくださいね♡
![](https://www.mamareha.com/wp-content/uploads/2023/04/20-320x180.jpg)