ウィメンズヘルス

産後のメンタルケアについて

「マタニティブルーズ」
「産後うつ」

一度は聞いたことのある言葉だと思います。

「妊産婦さんに多い」
「出産の影響」
「育児ノイローゼみたいなもん?」

うんうん、そうです。
でも、今日はそこからもう一段階
知識を深めていきましょうー!

 

他人事ではない産後うつの現状

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妊娠中〜産後1年以内に発症するうつ病を
「周産期うつ病」といいます。

■ 産後うつの発症率は10-15%
■ 自殺者は分娩時の身体的合併症での死亡数の2倍以上

結構ショッキングな数字じゃないですか?

海外のデータですが、
産後の死亡の約20%は自殺で、
妊娠中・産後の自傷企図は5~14%との報告もあります。

また、産後うつは女性に限らずで
父親となった男性の7%
うつ状態を呈するとの報告もあります。

何がそうさせるのか?

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ここからは、
出産後の女性に限った話になるのですが

30~50%の女性が産後3〜10日で経験すると
言われている「マタニティブルーズ」
という軽度の精神異常があります。

  • 涙もろくなったり

  • 集中力が低下したり
  • 軽度の抑うつ感や不安感を感じたり
  • 疲労感や焦燥感など

も症状として現れます。

このマタニティブルーズの原因となるのは
分娩による内分泌系の大きな変動。

ざっくりとした表で申し訳ないのですが

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ジェットコースター級の急下降。
これくらい分娩前後で大変動が起こります。

休息をとることで、産後2週間程度で
症状が改善する
ことが多いようですが

重度の場合は産後うつなどの精神病に
発展
していくこともあります。

産後のガルガル期を引き起こす内分泌系

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産褥期でもあり、
マタニティブルーズの症状が出やすい時期を
「産後のガルガル期」
とSNSで書いているのを目にしますが、

この「産後のガルガル期」を引き起こす
内分泌系についてちょっと深掘りしてみます。

妊娠・出産で変化する内分泌系

なんと。
ほぼ全てのホルモン分泌が妊娠の影響を受けます。

妊娠を継続させるために全身全霊をかけている。
という表現がしっくりくる気がします。。

お母さんって本当にすごい。

妊娠出産でどういった変化が起きるのかを
いくつかピックアップしてお伝えしていきます。

エストロゲン

女性ホルモンの一種で、妊娠の維持に働きます。
妊娠初期は卵巣の黄体から。
その後は胎盤から。
非妊娠時の100倍の量が分泌される。
脳内のセロトニンの分泌を促すので精神的な安定に役立つ

プロゲステロン

女性ホルモンの一種。
高温期を維持し、妊娠の維持にはたらく。

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)

受精後、胎盤絨毛から産生される。
黄体ホルモンを介した妊娠の維持に働く。
胎児の性分化やつわりに関与していると考えられている。

プロラクチン

脳の下垂体前葉から分泌される。
乳腺の発育を促し、乳汁の分泌に作用する。
授乳中はプロラクチンの作用により無月経となり
妊娠が成立しないように働く。
(授乳中でも妊娠の可能性は0ではない)

内分泌系以外の要素

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産後女性のメンタルは
内分泌変化によるものだけではありません。

妊娠中のうつ病のリスク因子

妊娠中の不安
ライフイベント
うつ病の既往
ソーシャルサポート不足
家庭内暴力
望まない妊娠 など

http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/jaogmental_L.pdf

妊娠中のストレスや抑うつ、不安感は、
早産や低出生体重児といった産科的合併症
子どもの情緒や発達に影響するとされています。

産後うつ病のリスク因子

精神疾患の既往
妊娠中のうつ症状や不安感
ソーシャルサポート不足 など

http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/jaogmental_L.pdf

産後うつ病は、産後数か月以内に発症し、
好発時期は産後 4 週以内といわれています。

妊娠中のうつと同様で、母子関係や、
子どもの情緒や発達に影響するとされています。

母親のうつが父親のうつに関連する

母親のうつ病は父親のうつ病に関連し、
周産期における父親のうつ病発症は増加する 。

Paulson JF, Bazemore SD.: Prenatal and postpartum depression in fathers and
its association with maternal depression: a meta-analysis. JAMA, 303(19):
1961-9, 2010

とされていることから、
母親のサポートを行うことは家族を支える
という意味合いでも大切であると考えられますね。

どうやってスクリーニングする?

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産後うつが出産後1ヶ月以内に多く、
マタニティブルーズから移行する方もいる。

また、上記したようなリスク因子があると
わかっていることから、スクリーニングは
産後の2週間、1ヶ月健診時に行われています。

スクリーニング方法として

エジンバラ産後うつ病質問票(EPSD)
が多く用いられています。

https://www.pref.nagano.lg.jp/seishin/heisetsu/jisatsuyobo/documents/sangoutu_p05_06.pdf

ただこれに頼るだけじゃなくて
注意したいのが、、

明らかに「産後うつの問診票だな」って分かるので
「まだいける」「うつ病だって思われたくない」
感じるママは、素直に回答していないケースがあること。
(長女出産後の私がそうでした…)

リスク因子もざっくりとしていますし、
わたし自身、環境面でも既往歴でも特に
リスクとして引っかかるところがなかったので
健診の時には問題なしと思われていたかもしれません。

でも実際は正直かなりキツかったので。。

質問票を用いて、業務的にこなすだけでは
正直、見落としがあるだろうなと思っています。

コロナ禍で、
家庭以外のコミュニケーションが
減っている昨今は数年前と比べてさらに
産後うつの方が増えているんじゃないかな。。

療法士、整体でのママのサポート

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メンタルサポートというと、
フィジカルケアとは違う立場というイメージが
ありますが、上記したようにママに関しては

「安心して話ができること」「外部とのつながり」

が自分の内面を打ち明けるのに大切な要素だと感じています。

助産師さん、看護師さんとの
健診時のちょっとした時間の中では
言い出しにくかったことも、

産後リハビリや、産後の整体の際に
世間話的な感じで「実は…」と話せたり。

私たちの仕事は
身体のケアであることは間違いないけれど、
ママと関われる時間も距離感も、
健診時の問診よりも長い

何気ない話でママの心をリラックスさせて
引き出してあげられる役割も
あるんじゃないかなって思っています。

今日もお読みくださりありがとうございました✦ฺ

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