ウィメンズヘルス

授乳姿勢に介入できますか?【症例から考える授乳姿勢】

おはようございます✦ฺ

「授乳」って

出産した女性だけが
一定の期間にだけできる特別な行為です。

一定期間って言っても1日に何回も授乳するわけで。

かなりADLなんです。

今日はわたしが以前担当した症例さんを
例に出しながら、
「授乳」についてPT的な視点から
記事を書いていきたいと思います!

授乳はいつから?どんなメカニズム?

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授乳は出産後当日から始まります。
経膣分娩の場合、産後6時間経過してから。
帝王切開の場合は、
母体の状態を考慮しつつ出産当日から
3時間ごとに開始されます。

 

特に初乳(分娩後数日間に出る母乳)にはタンパク質が豊富で栄養素がたっぷり詰まっているとされているので「出なくても」咥えさせてあげることを大切に助産師さんから指導を受けます。

そう。出産後すぐには母乳って出ないもんです。
何回も授乳を繰り返すことで脳への伝達で母乳量が増えていきます。

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【周産期ビジュアルナーシング 2017 270pより引用】

授乳のホントのこと

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授乳って赤ちゃんの顔を見て微笑みながら
母子の穏やかな時間。みたいなイメージありませんか?

わたしは、出産前はそんなイメージを持っていて
「母乳は自然に出るもん」
「授乳中は穏やかな時間」

みたいなのを想像していたんですが…

実際のところはめちゃくちゃ泥臭いです。

 

そう簡単に母乳量は軌道に乗らないし
胸が切れてまじで痛いし(産後の痛いランキングBEST1位)
一日ほぼ授乳してない?!ってくらい頻回で
肩凝るし背中痛いし
人によっては乳腺炎になって高熱でるし
胸が張ってくると痛いし

 

こういう状況を相談できるのが
「助産師外来」「母乳外来」という存在。

助産師さんたちがそこはエキスパートな訳です。

 

じゃあ、私たち療法士ができることって何なのか?!

それは「授乳姿勢指導」です。

 

 

冒頭にもお話ししたように
一定期間の限られた人にだけできる授乳ですが、
この一定期間中は何回も繰り返されるADLです。

何回も繰り返されるからこそ
いろんな痛みやトラブルが起こるわけで…

では早速、
わたしが以前に担当していた症例さんを例に
授乳姿勢についてご紹介していきます。

患者様の状況

・出産後1年、授乳中
・授乳後・朝起きた時に頸部痛(C7)
・頸椎の可動域制限なし

実際に勤務先していた整形外科クリニックで担当していた症例さんです。

最初は『寝て起きると痛いんです』と仰っていましたが
問診を進めていく中で、『添い乳をすると痛い』
ということが分かってきました。

こういう方への介入で必要になってくるのが
「授乳」についての知識です。

授乳姿勢の特徴

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授乳はおおよそ5〜10分×両側 かけて行います。
この時間は基本的に同じ姿勢を続けます。
座るなら座りっぱなし。寝るなら寝っぱなし。

胸への剪断力が起こらないように
胸椎は固定され、首が座る前の赤ちゃんは
ママが手で頭部を誘導・固定してあげる必要があります。

この手での固定で手首が腱鞘炎になるママもいます。

授乳姿勢といっても様々ですが
よく聞くスタンダードな授乳姿勢はこちら。

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【周産期ビジュアルナーシング 2017 260pより引用】

この絵には書かれていませんが授乳クッションを使用することも多いです。

これに加えて実際の生活場面で多いのが添い乳。

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今回の症例さんはこのパターンです。

添い乳は
・母親・赤ちゃんともに側臥位になる
・赤ちゃんの口と胸の高さを合わせる必要がある
・定頸前の赤ちゃんは体や頭を支えてあげる必要がある
・窒息を避けるため覆いかぶさらないようにする必要がある

など十分な環境設定が必要になります。

添い乳に限らず、
授乳中はちゃんと飲めているか真下を覗き込む姿勢になる
ということも今回の介入でのポイントでした。

この症例さんに関しては、
頸部痛に対しての徒手療法に加えて、
「授乳姿勢」や「環境設定」もガッツリ行いました。

実際のところ結構そこがメインです。

徒手アプローチでその場は楽になっても
生活が改善されないとまた痛みは繰り返されます。

この方の場合、赤ちゃんが生後1年以上経過していたので(首や腰が座っている)

・赤ちゃんの環境設定よりもお母さんの環境を調整(側臥位での枕の高さ)
・赤ちゃんをお母さんの胸に近づけるようにお伝え
・ラッチオン後(咥えた後)は頸部を屈曲させない

ということをお伝えした上で、
頸部痛の原因の一つであると評価した胸椎を
動かす運動を自主トレで提供しました。

ここまで実践していただき
頸部痛は数回の介入で改善されました。

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この方はあくまで一例ですが、
授乳中のママの肩こり首こりはよく聞く話です。

授乳期間も個人差があり
WHOは2歳までの授乳を推奨しています。

生活のどの場面で痛みが出ているのか。
問診を進める中で、小さいお子さんがいる女性は
授乳というADLがあることを頭の片隅に置いておいて
いただけるといいんじゃないかなぁと思います✦ฺ

ちなみに、授乳姿勢に関しても
助産師さんたちが介入している部分ではあります。

でも姿勢評価・動作評価などに長けているのが
PTですからこの強みをもっとママたちのために
生かしていきたいですね。

今日もここまでお読みいただき
本当にありがとうございました!

 

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