ウィメンズヘルス

産前産後のママに胸腰椎の運動が欠かせない6つの理由

 

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(参考)現代の妊婦のマイナートラブルの種類、発症率及び発症頻度に関する実態調査https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_48/_pdf

『妊娠中、産後の腰痛や肩こりが辛い…!!!!』という女性は多いですよね。
これを見ると、8割以上の方が妊婦さんが腰痛を抱えています。

日本では『産後は骨盤矯正』というイメージが強く、一般のママは『産後の不調は骨盤の歪みからきている』と捉えがちです。

しかし、

産前産後の女性だから骨盤を施術する。
だけではもちろん足りないのです。

全身からの評価、リーズニングが必要になりますが、今回は『胸腰椎』にスポットライトを当ててお話をしていこうと思います!

胸腰椎の運動が欠かせない6つの理由

今回、胸腰椎にポイントを当ててお話しする理由は以下の6点!

①妊娠中の姿勢変化
②妊娠中は呼吸が浅くなる
③育児動作での胸椎固定
④横抱きによる側弯
⑤抱っこひもによる固定
⑥運動機会の減少

ではひとつひとつを解説していきまーす!

1.妊娠中の姿勢変化

妊娠中の姿勢変化はこちらの記事でもご紹介しましたが、大きく分けて2パターンあります。(※全員が2つに分類できるわけではありません)

妊婦さんの姿勢変化について先日も勤務先のクリニックで産後女性の リハビリ処方が新たに出ました。 その方は妊娠中から腰痛に悩み続けていると…。 妊娠中から...

 

Sway back posture

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胸郭に対し骨盤帯が前方偏移しており、
・骨格筋の収縮要素の使用は少なく靭帯や関節包の伸張性に依存した姿勢
・腹部の緊張が低くリブフレアになりやすい

腰椎前弯姿勢

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・骨盤前傾位
・大腿骨頭に対して臼蓋の被服率が高い
・腸腰筋の伸長性低下
・腹筋群の緊張低下

妊娠中に多いと言われるのがこの2つの姿勢変化。
お腹が大きくなり腹筋群の筋厚が薄くなり働きが低下しやすいことが原因の一つです。

 

  • sway back postureではリブフレアになりやすい

  • 腰椎前弯姿勢では起立筋群の緊張が高まりやすい

    という点から、妊娠中も胸腰椎をしっかり動かす必要があります。

2.呼吸が浅くなる

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妊娠中は子宮が大きくなるにつれて胸郭や横隔膜のコンプライアンスが低下します。

【横隔膜】
起始:腰椎部(第1-3腰椎椎体、横隔膜脚)
肋骨部(第7-12肋軟骨の内面)
胸骨部(剣状突起後面)
※すべて内側
停止:腱中心
支配神経:横隔神経(頸神経の枝)

妊娠中はお腹の中に赤ちゃんがいて物理的な圧迫は免れないので、「できるだけ深い呼吸を」「胸郭を動かしましょう」「背骨も動かしましょう」という運動提供をどの妊婦さんにも行うことが多いです。

産後には、赤ちゃん(子宮の増大)という物理的な制限が無くなるので、産褥期から呼吸をメインにした運動や胸腰椎の運動を取り入れていきます。

3.育児動作での胸椎固定

授乳

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周産期ビジュアルナーシング 2017 260pより引用

おおよそ5〜10分×両側 かけて行いますが、この時間は基本的に同じ姿勢を続けます。座るなら座りっぱなし。寝るなら寝っぱなし。

赤ちゃんが吸う力とお母さんの動きで、胸への剪断力がかからないように胸椎は固定し、首が座る前の赤ちゃんはママが手で頭部を誘導・固定してあげる必要があります。

抱っこ

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ウィメンズヘルス運動療法 2017 p248より引用

上肢にかかる重さを少しでも減らすために、お母さんの胸部の辺りで抱き抱えることになります。

このときにも胸椎は固定されますし、妊娠中の姿勢変化が継続しsway back postureや腰椎前弯が増強してしまう方がとても多いです。

子供を抱っこしている母親の立位保持姿勢は、骨盤前傾腰椎前弯・胸椎後弯および体幹後方傾斜が増大する。

Junqueria LD,Amaral LQ et al 2015

という報告もあります。

4.横抱きによる側弯

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首が座った後には、利き手をフリーにして家事をするため利き手と反対側の骨盤に赤ちゃんを乗せる姿勢を取りがちです。

【右利きの場合】
骨盤左挙上
腰椎右側屈
胸椎左側屈、左回旋
肩甲帯左側下制
頭頸部右屈曲

こんな感じ。
日常的に繰り返されると、胸腰椎の動きが偏ってしまいやすく腰痛などのトラブルにつながります。

抱っこひもを使用しない抱っこでは左右非対称な姿勢や体幹を後方に推移させた姿勢になる

平元奈津子 ウィメンズヘルス運動療法 2017

という報告もあり、産後のママも絶対に胸腰椎の運動は必要です。

5.抱っこひもによる固定

抱っこひもの使用で、胸椎の動きが固定されるというデータは見つけられなかったのですが、写真を見て分かる通り胸腰椎の動きは固定されます。

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また、抱っこ紐の装着方法は誰にも教わる機会がなく、長時間にもなりやすいため胸腰椎の運動以外にも、個人に合わせた抱っこひもの装着方法の指導が必要になります。

抱っこひもの付け方については
コチラの記事にまとめました!

6.運動機会の減少

産後1ヶ月の新生児は免疫機能がまだ低く、外出はできません。
また、産褥期にあるお母さんは身体の回復期間であることや睡眠不足が重なり外出どころか運動をする時間がない方がほとんどです。

そんな運動量の低下が続く中でも、24時間休みなく育児は続くので、度重なる育児動作で体に負担はかかり続けます。

産褥期にできる運動については
コチラの記事ご紹介しています!

以上の理由から、私は産前産後のママには胸腰椎をしっかり動かす運動を予防的にも行うことをお勧めしています!

どんな運動がお勧め?

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胸腰椎の運動であればなんでもOKですが、妊婦さんはお腹が大きくなるにつれてできる動作が限られてきます。

胸腰椎屈曲運動に関しても
●足の間を広げる
●手首の疼痛に配慮する
●腰椎後弯を意識しながらお尻を後ろにひく

などの点に注意すると妊婦さんでも行いやすいです。

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個性強めの靴下で失礼します
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お腹が入るように両下肢間を広げる

この姿勢のまま、右手の下に左手を通し、胸椎回旋運動をおこなったりもできます。(左右やってね)

背中の運動を多めにご紹介しているコチラの動画も貼っておきます!
めちゃくちゃ簡単な内容です。

今日もここまでお読みくださりありがとうございました✦ฺ

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